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♨️黒川温泉にご案内します (黒川温泉シリーズ第1回)

I  will  guide  you  through  the  Kurokawa  Onsen  located  in  Kumamoto  Prefecture.


    さあ、これから皆さんを熊本県にある〝黒川温泉〟にご案内します。黒川温泉と聞いても日本に同名の温泉地がいくつかあり、どの温泉地のことだろうと思うかもしれません。今回紹介するのは、熊本県の北部に位置し、熊本駅から車で約2時間弱、大分県湯布院からは車で約1時間のところにあり、熊本県阿蘇郡南小国町満願寺というところに、田の原川を挟んで24軒の和風旅館が建ち並ぶ大変特徴を持った温泉地の黒川温泉です。

   今回黒川温泉に行くきっかけとなったのが、黒川温泉再生の中心人物〝後藤哲也さん〟が執筆した本を、6年ほど前伊勢市図書館で借りて読み感激したからです。 それは後藤さんが中心となって無名だった黒川温泉を、一流の温泉へと再生させたその手腕と行動力、そして街を日本の観光地のモデルとなるような絵になる風景に一変させたという事実です。

Tetsuya  Goto  is  Sinmei-kan  of  the  owner  was  to  regenerate  the  Kurokawa  Onsen

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   今回7月16日〜18日の日程で、家族旅行ではありますが私は初めての黒川温泉にある使命をもって行きました。それは、「すばらしい景観をもった観光地なので、一人でも多くの人に伝えたい」ということで、行く前から黒川温泉のすばらしさを確信していました。そして、初めて黒川温泉にに行ってみてその確信は間違いなかったと思いました。いや、期待以上のものでした。今回ブログ投稿を前提としていたので、家族の意向もあり家族写真は掲載していません(一部後ろ姿はあります)。純粋に黒川温泉の景観を中心に紹介します。

   では、まずは黒川温泉中心部からその景観を写真で見て見ましょう。 

 

新明館前の橋から360度見渡す

Over  looking  360  degrees  from  the  bridge  of  Sinmei-kan

   後藤哲也さんが生まれ、オーナーとしてその経営に深く関わった〝新明館〟。その前を田の原川が流れていて、新明館入口から反対側にかかる橋があります。その橋の辺りが黒川温泉のほぼ中心になります。

             〈⬇︎温泉地中央を流れる田の原川〉

                   〈⬇︎橋の上から新明館入口〉

                         Entrance  of  Shinmei-kan

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                〈⬇︎田の原川の反対側(上流)〉

                     〈⬇︎新明館と反対側〉


 川を挟んで新明館と反対側の黒川温泉の中心地

Kurokawa  Onsen  center  is  just  the  opposite  side  of  Shinmei-kan

   中心地といっても繁華街といえるほどのものはありません。旅館と旅館の狭い道を挟んでいくつかの土産屋と軽食喫茶の店があります。

 〈⬇︎写真上が午後5時半頃、下が午前9時頃〉


 

黒川温泉中心地周辺の景観

Landscape  with  around  Kurokawa  Onsen  center

   先ほどの黒川温泉中心地から周囲約300メートルを散策しました。その景観はどの角度から写真を撮っても絵になります。デカデカとした看板、のぼり旗は一つもありません。どの旅館も木の緑(秋には紅葉の色が加わる)をふんだんに使っているが、庭師が手入れしたような木は1本もなく自然です。旅館それぞれが〝和〟を基調に工夫した景観を創っています。日本でこんな経験は初めてです。感動の連続でした。写真を何枚か掲載します。

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          〈⬇︎囲炉裏とその奥に薪が積んである〉

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X   荘 (事情により宿泊施設名を出しません)

Accommodatioion  name  and  private

   私が泊まった旅館です。館内は見事に雰囲気を演出し、クオリティの高さをうかがわせます。

                    〈⬇︎館内 写真下がフロント〉 

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                〈⬇︎雰囲気のある露天風呂〉

                 Open-air  bath  with  atmosphere

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   食事内容は、皿とその配置にもこだわりがあり、クォリティの高さを感じます。

                             〈⬇︎夕食〉

                                  dinner

※夕食は、コースになっていて写真は一部です。

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                                〈⬇︎朝食〉 

                                  breakfast

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                             〈⬇︎朝食会場〉

                                breakfast  venue

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奥黒川温泉〝山みず木
Yamamizki  in  the  back  Kurokaw  Onsen

   さて、今回の旅の中でも最も感動したのが、黒川温泉中心地からやや離れた奥黒川温泉の旅館〝山みず木〟です。この旅館はあの新明館のオーナー後藤哲也さんが、約3000坪の土地に総工費約5億円をかけ、もっているノウハウを総動員して1989年に完成させたのです。本当は泊まりたかったのですが、私の事前の勉強不足で予約が取れませんでした。実は私がネットで予約したのが昨年の11月でした。その時〝山みず木〟は予約可能な旅館に紹介されていなかったので、もう「予約で一杯になってしまった」とカン違いをしてしまいました。本当は半年前、つまり今回の私の場合は1月16日以降の予約スタートだった訳です。電話1本して確認していれば予約できていたのに残念です(この7月の3連休の予約は4月初旬で満室になったとのことです)。でも、どうしてもこの目で見たかったので、フロントスタッフの方に事情を話し、館内の写真を撮らせてもらうことと露天風呂に入らせてもらいました。

 

さあ、それでは皆さん、感動の 旅館〝山みず木〟とその〝露天風呂〟に行きましょう‼︎

 Let’s  go  to  Yamamizuki  Inn  and  its  open-air  bath

旅館〝山みず木〟入口前

Yamamizuki  Inn  entrance

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館内フロントとその周辺

front  and  around

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露天風呂に向かう

It  will  head  to  the  open-air  bath

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男性用露天風呂の脱衣所

 Dressing  room  for  man    

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男性用露天風呂

 Open-air  bath  for  man

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   どうでしょうか?露天風呂に入った気分になったのではないでしょうか。たぶん皆さんはとても宿泊代が高いだろうなと思うでしょうが、実はそれほどではありません。ネットで調べれば分かりますが、宿泊タイプはAからFまで6タイプあり、3人家族で1泊2食付で一人当たり16000円からあります。いくつか紹介しましょう。        

   すべて1泊2食付で以下のようになります。

◉Aタイプ(和室10畳トイレ付 )

   3人  16000円/人(2人17000円)

◉Dタイプ(12畳和室 バス・トイレ付)

   3人  23000円/人(2人24000円)

◉Fタイプ(和洋室34畳バス・トイレ付)

   3人  30000円/人(2人45000円)

  ※B、C、Eタイプは省略します。

   私が今度黒川温泉に行くとしたらぜひとも泊まってみたい旅館です。楽天トラベルで検索すると土日祝日と平日の料金差はないようです。山みず木のすぐ近くには、姉妹館の〝深山山荘〟もあり、こちらも山みず木に負けず劣らずすばらしい旅館です。ただし、どちらも車で行く場合、山の中の狭い一本道を行くので運転初心者の方は遠慮した方がいいと思います。

 

入湯手形で洞窟風呂へ

Enter  the  cave  bath  with  bathing  bill

   さて、皆さんが〝山みず木〟に泊まったとしても黒川温泉の湯めぐりをおすすめします。今では全国の温泉地で、〝入湯手形〟で湯めぐりができる仕組みが生まれていますが、黒川温泉がそのはしりです。1300円で入湯手形を購入すると3カ所の露天風呂に入ることができます。私もこの入湯手形で、先ほど紹介した山みず木と一番最初に紹介した新明館の〝洞窟風呂〟に入ってきました。

               〈⬇︎実際に購入して使った入湯手形〉

                              bathing  bill

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   黒川温泉再生の原点ともいえる新明館の〝洞窟風呂〟(後藤哲也さんが23歳に時からノミと金槌だけで3年がかりでつくる)には行って見ましょう。もちろん私も行きました。風呂といってもちゃんとした脱衣所があるわけではなく、洞窟風呂の入口に脱衣カゴが数個あるだけです。入湯手形を使って湯めぐりできる温泉は、頭髪をシャンプーで洗ったり、体を洗ったりはできません。お湯に浸かるだけになります。体を洗うのは宿泊する旅館の風呂に入り直して行います。それなりの規模の旅館は、湯めぐり用の風呂と宿泊者専用の風呂と分かれています。

                〈⬇︎新明館の洞窟風呂(穴風呂)〉            

                       Cave  bath  in  Shinmei-kan

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   私が行った日はちょっとしたハプニングがありました。新明館の風呂は旅館内の内湯の他に五つ。露天風呂が二つ。「岩戸風呂」(男女混浴)と女性宿泊者専用の「風の湯」、ファミリーで入れる「家族風呂」、女性専用の「洞窟風呂」、男女混浴が「穴風呂」と名づけられている。ここで注意してほしい。〝男性専用〟の風呂がない。そのことを受付で聞くと、『大丈夫です。男女混浴の風呂は男性しか入りません』という。納得して穴風呂に向かう。穴風呂は一番奥の男女混浴の「岩戸風呂」の手前右側にある。歩いていると混浴の「岩戸風呂」の方からバスタオルで前だけ隠して歩いてくる女性(歳のころ40位)がいるのです。そして私のすぐ真横を通り過ぎていきます。真横といっても当然後ろ姿が目に入ってきます。後ろ姿は何も隠すものがなく、お尻が丸見えです。一瞬何が起きているのか茫然としてしまいました。やがてカップルの男女が露天風呂から穴風呂にそれぞれが少し間をおいて戻り、脱衣カゴに置いた服を着るためタオルで拭き始めているのが分かりました。穴風呂に入るためには、当然同じ脱衣カゴのところに行って、服を脱ぎ裸になる必要があります。天下一小心者の私はとてもそんなことはできません。おそらくこんな場面ではほとんどの男性がしりごみしてしまうでしょう。仕方ないので少し戻って休憩場所でカップルが着替え終わって出るのを確認してか風呂に入りました。なんか今でもあの女性の後ろ姿が脳裏に焼きついてしまっています。ただ皆さん、こんな場面がまたあるとは思ってはいけません。もうこんなケースはないでしょう。もちろん、旅は、さまざまな出来事があります。また違った素敵な出逢いがきっとあるでしょう。

 

露天(穴)風呂の後は生ビールが飲める素敵な店に行こう!

   新明館の露天風呂に入ったら、今度は新明館前の橋を渡ってすぐ右側に湯音(ゆのん)というお店があります。ジャージー牛乳&地元産品専門店ですが、湯あがりにカウンターで生ビールを飲むことができます。アルコールがダメな方は、ソフトクリームかソフトドリンクでどうぞ。熊本名物の馬肉を使った里いも馬肉コロッケや馬肉メンチカツもあり、その場で揚げたてを食べることができます。店内に入ると笑顔が素敵な美人スタッフとイケメンスタッフ君が迎えてくれます。

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 〈昨年リニューアルしたばかりの綺麗な店内〉

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                   〈⬇︎湯音のスタッフの皆さん〉

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    スタッフの皆さんから素敵な笑顔で接してもらえると時間はたちまち〝夢の世界〟へと変わります。そう、気分は最高です。湯あがりで湯音に行ったのが夕方5時半過ぎで閉店が6時。旅館の食事時間が近いというのに生ビールをお代わりしたのはもちろんです。湯音に行って今度の私の旅の物語は完成です。「今度伊勢に行きます」というスタッフの方の言葉を信じて伊勢で待ってま〜す。62歳、〝しょうもないお父さんだ〟と笑う人は笑うがいい。ここで好きな「ニーチェの言葉」の一節を紹介しよう!

〝喜ぼう。この人生、もっと喜ぼう。喜び、嬉しがって生きよう〟

 

黒川温泉からの帰路

   行きは熊本駅からレンタカーで、草原の中を通るミルクロードという道を走行して黒川温泉に行きました。梅雨明け前の直前ということもあり、少し標高の高いミルクロードに入ると霧が襲ってきました。ひどい時は視界が10メートルほどしかなく、時速10キロメートル程度の徐行で、恐怖を感じながら走行しました。通常1時間50分の行程が1時間以上も余計にかかってしまいました。

   帰りは前日梅雨明けし、晴天が私たちを送ってくれました。帰りのミルクロードに入ると、行きでは霧で見れなかった驚きの光景が目に入ってきました。阿蘇の山と麓からの広大な草原です。思わず車を止めて見入ってしまいました。

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    皆さんが、ミルクロードを通って黒川温泉に行くとき、このすばらしい光景が迎えてくれるでしょう。

 

 さあ、黒川温泉へ行こう!

Let’s  go  Kurokawa  Onsen

   皆さん、どうですか?黒川温泉に行って見たくなりましたか?〝行きたい〟と思ったならぜひ黒川温泉へ行きましょう。黒川温泉に行って、すばらしい風景の中に自分を置き、クォリティの高い食事を味わい、素敵な人との出会いとふれあいで〝自分の物語〟をつくりましょう。もちろん、関東や東海地区から黒川温泉に行くなら二泊で一人あたり交通費含め10万円近いお金がかかってしまうので、〝気軽に行く〟というわけにはいかないでしょう。意志を持ってお金を貯めることが必要になります。黒川温泉は、旅行会社の企画する格安ツアーのコースには入っていません。以前旅行会社が立ち寄りで湯めぐりができるツアーコースを組んでいたのですが、宿泊している人から「騒がしくて落ちついて風呂に入れなくなった」とクレームがあり、そうした格安ツアーの受け入れを止めてしまったそうです。そんな経過があり、逆にだからこそ黒川温泉は落ちついた雰囲気の中で湯めぐりをしたり、ゆったりと時間を過ごすことができるのです。

   それから一般的な観光地のイメージと違うのでご注意下さい。まず小さい子どもさんが遊んだり喜びそうなところは、車で1時間くらいのところにある湯布院などと違ってほとんどありません。それと黒川温泉の土産ものを売る店は夕方6時には締まります。それ以降で店でやっているのは、酒が飲めるスナック的な店が2軒ほどあるだけです。私もそのうちの一軒に行ってみました。店内は綺麗で感じのいい店でした。ただ一般的なスナックなどと違うのは、今あまりに当たり前のカラオケがないのです。だから落ちついた雰囲気の中で家族とあるいは友達と語りながら飲み、時を過ごすことができます。そう、団体で来て宴会でカラオケで盛り上がり、大騒ぎするところはありません。だから黒川温泉は普通の観光地の旅館街とは違います。黒川温泉は大人が楽しむところです。そして、夫婦と、そして家族と、あるいは友達とゆっくり温泉につかり、そこにある自然とその自然の中に調和した温泉街の風景の中に身を置くことで気持ちをリフレッシュし、その風景に、そこで働く人たちの営みに感動し、これから生きていく上の活力をもらうことができます。そうです。黒川温泉に行くということは、これまでの観光地、温泉地の楽しみ方とはまったく異なる楽しみ方を要求されます。これが本当の旅の楽しみ方だと私は思います。しかし、温泉地の旅の楽しみ方については当然いろいろな考え方があって私の考えを押しつけるわけにはいきませんが。

 

黒川温泉の皆さまへ

   黒川温泉で働く皆さん、二泊三日の旅でしだが、私たちに〝たくさんの感動〟をくださりありがとうございました。今、この感動をより多くの方に知ってほしいと思っています。 その第一弾がこのブログでの紹介です。できれば私が本で読んで感動し、黒川温泉にくるきっかけとなった〝後藤哲也さん〟のことも、もっと詳しく紹介したいと思っています。

   ここで、誠に失礼ではありますが、黒川温泉で働く皆さまに意見と要望を申し上げたいと思います。全体としては、〝すばらしい旅〟でした。5段階評価でいえば文句なく5です。これまでの旅の中でこれだけのクォリティの高い観光地を私は見たことがありません。〝完璧です〟と言いたいところですが、それでは黒川温泉のさらなる進歩がありません。そこで黒川温泉のさらなる発展のために申し上げます。それとすべてにわたって今回の旅が満足したかといえば、もちろん不満な点が一つもなかったわけではありません。それも胸の内にしまっておくのではなく、申し上げます。

   まず、今のクォリティの高さを維持し、更に高めていってほしい。今の〝黒川温泉〟は、もう確固とした一つのブランドになっています。このブランド力を落とすのは簡単です。一つの旅館が稼動率を高めるために、目立つよう大きな看板とのぼり旗をつけ、それを組合が許してしまったら今の景観は崩れ、全体のクォリティは下がり、ブランド力は落ちます。現在の景観をしっかり維持することでブランド力は守られます。しっかり建物をメンテナンスし、景観を維持し続けながら歳月を重ねることで、街としての風格が更に高まるでしょう。

   さて、この景観でいえば二つほど気になる点がありました。一つは黒川温泉中心地周辺を散策したとき、〝どこにカメラを向けても絵になる〟と前に書きましたが、正確には〝他の観光地と比べて絵になる景観が圧倒的に多い〟です。景観で気になったところがあります。田の原川沿いの道を目に入る風景を楽しみながら散策していて丸鈴橋を進んで行くと左手に旧小国街道沿いにある某旅館の姿が見えてきます。旧小国街道を通った時は、2階建てで〝和〟の雰囲気を感じたのですが、反対側の下から見上げると4階建になります。この方向から見るといわゆる箱物の建物に見えてしまって絵にならず、失礼ですが邪魔な景観に感じました。確かに4層の建物て和の雰囲気を出すのは難しいと思いますが。下手な細工ではお城になってしまいます。お堀もない温泉地に突然お城では調和しません。それから後藤哲也さんの本で紹介していた2004年に完成した3階建の新明館の従業員寮。本では「黒川の全体像に合わせるように、外壁は黒い板張りにして民家のたたずまいを出し・・・窓には格子を打つなど思いっきり重厚な作りにしました。」とある。ワクワクして地図で表示されているところに行ったのですが、どうも書いてある内容と実際の姿が違う。表札がなかったので新明館のフロントの女性に確認したら「場所は間違いない」という。後藤さんが本で紹介した景観はどこへ行ってしまったのでしょうか。私には実際見えた景観は〝写真を撮るほどではないか〟というものでした。この私のこの要求は一般的な観光地のレベルのところでは、少し〝酷〟でしょう。しかし、私は黒川温泉が世界的に一級といわれる観光地になってほしい、インターナショナルで伍していける観光地になってほしいと思うからです。その潜在能力があると思うからです。

    さて、もう一つが従業員の接遇、接客応対の問題です。今どこの業界でも人材を確保できず慢性的な人不足に悩まされています。それはこの黒川温泉においても同じでしょう。場所が山里離れていることもあって新明館始め今度泊まったX荘においても従業員寮をしっかり確保していて、その負担は大変だと思います。従業員に過重な労働条件であったり、賃金が低すぎたりしたら優秀な人材が定着してくれません。それは今どこの業界も同じです。そうした問題があることを承知で、今回の黒川温泉の宿泊先の事例を書きます。初日の夕食で最初に応対してくれたのが、県外から来てこの7月1日から働き始めたばかりのNさん。初日夕食の後半と翌日の朝食と夕食を担当したのが、やはり地元の人でなくここ最近黒川温泉で働き始めたばかりの70過ぎのおばさんスタッフさん。私の方はというと、後藤哲也さんの本を読んで感激し、強い思い入れがある。地元の人の生の声でその人柄を知ろうと思い、スタッフである中居さんに〝後藤哲也さん〟について聞く。そう、私の中の〝旅の物語〟を本格スタートさせたわけです。と思っていたら二人とも後藤哲也さんを知らないという。拍子抜けです。それでもNさんは、知らなかったことを申し訳ないという表情になり、私の話す後藤哲也さんのことをしっかり聞いてくれます。これなら話す方も話しがいがあり、コミュニケーションは成立しています。しかし、その後のおばさんスタッフさんとはコミュニケーション不成立でした。持ってきた料理を一通り説明すると「失礼します」といって食事場所の個室から直ぐ出てしまう。「どこから来たんですか」「遠くから大変でしたね」などの言葉はない。しかも目線はこちらをちらっと見るだけで合わせてくれない。私たちとは話したくないのかと悲しくなる。もちろんお客様の中には「型通りの挨拶ややりとりはいいから早く家族だけで会話を楽しみたい」という人も多いでしょう。また私も経験がありましたが、お客様と直接接する仕事で若い新人さんの場合、お客様から直接質問されるのが怖いから質問されないよう売り場通路を素早く歩いてしまうという例はある。しかし、70過ぎのおばさんではそんな感覚では困ります。そんなわけで私の中の〝旅の物語〟は物語の成立なく、ぷっつりと切れかかってしまいました。旅館として館内の雰囲気はなかなかのものがある。5段階評価で5をつけていい。食事内容もいい。こちらも評価5でいい。黒川温泉に強い思い入れを持ってきた私として料理を目の前にして〝やっぱり黒川温泉はすばらしい〟と思っていたところでした。当然スタッフの皆さんともすてきな旅の物語の1ページとなる会話ができることを期待した。しかし期待と違った。この応対のためにトータルで5はつけられないのです。例えばレストランで食事内容は極めていいのに店内の雰囲気が良くないという例がたまにある。この場合もトータルの評価は5には決してならない。「もう二度と行かない」と思うことすらある。今回の場合お互いの〝思い〟の違いからくるすれ違いで、たぶん今そのスタッフの方にその時のことを聞いてみても「普段通りで特に失礼な対応はありませんでした」と言うと思います。当事者の私が言うのも変ですが、接遇、応対とは本当に難しいと思います。

   ここで少し話が変わりますが、〝接遇〟関連で昨年イギリス人で現在小西美術工藝社社長に就任しているデービット・アトキンソンさんが執筆して話題になった「新・観光立国論」という本があります。少し関係するので話しが長くなりますが、その1節を紹介しましょう。その第4章に〝おもてなし〟に関することが書かれています。その中で紹介されているのが2011年に日本生産性本部がアメリカ、中国、フランスを対象に「おもてなし」についてのアンケート調査を行った結果です。その内容は、外国の人が私たち日本人が考えているほどホテルや旅館、レストランなどで受けた〝おもてなし〟を評価していないということです。むしろ、日本のホテルや旅館、レストランなどは、一方的に日本人のやり方やサービスを押し付ける、臨機応変が利かない、かた苦しいなど酷評されているケースのほうが多いといっています。外国人が評価しているのは、あくまで「日本人の礼儀正しさや親切さ」であって、日本という国に「おもてなし」という高いホスピタリティの文化があるなどと思っている人は、かなり少数派だということです。今、日本のテレビの番組を見ていると、外国人の日本に対する評価など十分な現状の考察がないまま「日本のおもてなしは最高だ」と自画自賛しているように見えます。確かに外国人から〝日本はすばらしい〟と評価されるのは耳触りが良く、素直にうれしい。逆に貶されると悔しいし悲しい。
   もう一つ同じ4章で日本のレストランでのことがいくつか紹介されている。日本のレストランに5人位のグループで行き、メニューを決め注文する。そして出来上がった料理を持ってきて「◯◯のお客様」と聞いて客からのリアクションを確認してテーブルに置いるのに驚くという。日本人の私としては、この光景はごく当たり前で、アトキンソンさんがその光景に驚くということに逆に驚く。しかし、海外では4〜5人から注文したメニューをしっかり把握し、料理が出来上がったら注文した人の前に正しく置く。それが基本中の基本だという。また、海外のレストラン(特にヨーロッパで)ではスタッフは客から「すみません」と言われて動くのは失格とされる。それから海外ではレストランでの食事後会計時に「How is /was  everything?」(何かご不満な点はありませんでしたか?)と聞かれるが、日本で聞かれたことは一度もないという。確かに私も日本にいて、レストランや旅館でそんなことを訊かれたことは一度も記憶にない。その代わり日本では、旅館の部屋に、レストランでは座ったテーブルの上にお決まりのアンケート用紙があって意見を書けるようになっている。しかし、本当に意見として伝えるには事例を具体的に、文章も内容が間違っていないか良く検討しなければならない。文章としてまとめるのは大変な労力です。その大変な労力をお客様に押し付けていることなのです。従ってほとんどのお客はアンケートなど書かない。文章で具体的な意見を書いてくれる人がどれだけいるでしょうか。しかもそのアンケートの意見を読む時、お客はもういないので緊張感はなく、店や旅館の都合で対応できる。多くの場合何も変わらないのではないか。本当にお客の声を聴き、店や施設の改善につなげていこうと思うならお客との会話のやりとりの中で不満の声を聴き出し、改善につなげていくべきです。日本人は、お客様から率直に意見を言われた場合、そこからの会話力を通してより深くその内容を理解し、現状の改善につなげていくような姿勢の人は極めて少ない。そう、自分の店のことでお客様から直接いろいろ意見を言われることを嫌う。褒めてくれるの言葉なら聞いてもいい。でも「意見、クレームはアンケート用紙にどうぞ」の姿勢に多くの人がなっているのではと思っています。

 

    済みません。話がどんどん長くなってしまいます。実はまだまだ話を続けたい。接遇のことについても更に続けたい。また、 先ほど紹介したデービッド・アトキンソンさんは「日本は観光に関しては後進国だ」と言っていますが、私も同感に思っています。ぜひそのことについて触れたかった。それから全国の観光地について現状の課題について自分なりに意見を言いたかった。そして、その上で「黒川温泉に学べ」と言いいたいのです。しかし、それはこの投稿の続編という形にして改めて書くようにします。

   今、ミシュラン・グリーンガイド・日本版の最新版を見ています。それを見ると温泉地で星3つのところは別府のひょうたん温泉のみです(見落としがあったら失礼)。星2つが城崎温泉由布院、竹瓦温泉、そして黒川温泉です。ちなみに草津温泉有馬温泉もガイドで紹介されていますが星数無しです。それから私は神奈川に30年以上いたので〝あれっ〟と思ったのですが、ガイドに神奈川県の西端にある湯河原と真鶴(こちらは温泉はないが)が星無しですが紹介されている。しかし、昔温泉地の年間集客数で日本一を誇った隣の静岡県熱海は名前すら紹介されていない。外国の人に紹介するに値しないということでしょうか。かなり手厳しい。私は黒川温泉が世界に伍する観光地を目指してほしいと思っています。それが目的ではなく、あくまで一つの目標としてですが〝星三つ〟を目指してほしいと思っています。星二つの中でそれに最も近いのが黒川温泉だと思っています。おこがましいですが、そのための私なりの施策も書いてみたい(基本的には後藤哲也さんのやってきたことを踏襲し、より徹底させるということですが)。そんなことも合わせて続編の投稿で書いてみたいと思います。続編のタイトルは「黒川温泉に学べ(仮称)」で。

   それではここで黒川温泉編の第1回を終わります。