読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

🔶《第6回》私の『137億年の物語』

f:id:takeo1954:20170102065947j:image

 

   今回のテーマの年代は、前章とほとんど重複する4億年前から2億5200万年前の話しで、地球上の陸地で起こった出来事になります。

 

   この章でもいろいろな驚きがあります。その中から私が最も印象に残った驚きの出来事を三つほど紹介したいと思います。

 

   前回の章で、海や川で生きる動物のいくつかが、地上に進出するきっかけとなったのは、地上の酸素濃度の上昇であると書きました。実は、そのことが最も印象に残った中の一つです。現在私たちが生きている地球上の酸素濃度は21%です。それが3億5000万年前には、地球上の酸素濃度は35%まで上昇したといわれています。なぜ、そこまで地球上の酸素が上昇し、その後酸素濃度は現在の21%まで下がってしまったのか。

   酸素濃度は、海の中にいるシアノバクテリアなどの微生物や藻などの光合成によって、少しずつ大気の酸素濃度を増やしていきましたが、劇的に酸素濃度を増やしたのはやはり樹木の登場と繁殖範囲を地上の大半に広げていったからです。このころは地質時代区分で、石炭紀(3億5920万年前〜2億9900万年前)といわれているように、その地層から石炭が発掘される層です。そうです。その時代の木が化石化したものです。この化石の元になったのがリンボク(現在ある植物のリンボクと違い、高木になり、木の高さ40m、幹の太さ直径2m位になる)です。このリンボクは、いたるところにかなり密集して繁殖したといわれています。それと地上で極めてよく繁殖したのが、ヒカゲノカズラなどのシダ類です。これらの植物を中心に地上の広範囲に及ぶ繁殖が、一斉に光合成を行うことによって大気中の二酸化炭素を取り込み、水を分解して酸素をつくる。その結果酸素濃度もどんどん上昇していったのです。ちなみに、酸素濃度の上昇は、酸素と紫外線が反応してオゾン層も形成していく。これによって地上に届く紫外線の量が減少し、動物が生きていく条件が整えられていく訳です。また、酸素濃度の上昇は、巨大とんぼ(カモメほどの大きさがあった)などを出現させることにもなります。

   さて、35%まで(これ以上増えると風による木の枝どうしのこすれなど、自然現象で発火してしまうような状態になる)上昇した酸素濃度が、今度は何故減少に転じたのか。これもおもしろいですね。この世で進化しているのは、動物や植物だけでなく、微生物や菌類も同じで常に進化しています。この石炭紀の時代まで、地球上には木を腐食させる菌類=木材腐朽菌(白色腐朽菌、褐色腐朽菌など)が存在しなかった。石炭紀の後半の3億年ほど前から木材腐朽菌が登場して、樹木の細胞壁を強くしているリグニンを分解するようになる。そして、菌がリグニンを分解するときに、今度は酸素を多く必要とするようになります。腐らずに寿命を終えたリンボクなどが大量に地上に横たわっていたので、急速に木材腐朽菌が繁殖して木を腐らせる。それと同時に急速に今度は地球上の酸素濃度が減っていったというわけです。この木材腐朽菌の大半を占める白色腐朽菌、実は皆さんがよく知っているキノコ類で、椎茸、舞茸、えのき茸もその仲間です。

f:id:takeo1954:20170207052423j:image 〈出典〉ウィキペディア  フリー百科事典 「地球の大気」  更新日時   2017年1月23日  19:50

https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Sauerstoffgehalt-1000mj2.png#mw-jump-to-license

 

    二つ目の驚きです。先ほどの一つ目のことと大いに関係することです。「ああ、そういうことだったのか」と納得したことでもあります。現在も石炭は、私たちの生きる社会の中で重要なエネルギー源、燃料として広く利用されています(現在は中国が世界の消費量のほぼ半分を占める)。石炭の埋蔵量は、今の消費量を続けても100年以上使えると試算されています。無煙炭などの高品位の石炭(炭素比率が高い)は、埋蔵量が少なくなっているようですが、褐炭などの低品位の石炭を含めると年々埋蔵量は増えているようです。これまで不思議に思っていたのは、人類がどうしてこんなに膨大な量の石炭を100年以上に渡って採掘し続けられ、これからもさらに長期に渡って採掘できるのか、という点でした。謎が解けました。高さ40m、幹の太さ直径2mもあるようなリンボクが寿命が尽きて地上に倒れる。石炭紀の時代には、まだ木材腐朽菌が存在しないので、1万年、10万年経ってもリンボクは腐らず、昨日倒れたばかりのような状態でうず高く積み重なっていった。そして数千万年、数億年の長い時間の経過の中で、堆積物で覆われ、プレートの移動で地殻がマントル内に入り込む影響で地中深くに押し込められていく。そして、長期に渡る地熱と地下深くにとどまることによる甚大な圧力がかかる。そんな状態が数億年続くことで、膨大な量の石炭が作られた、ということになります。逆に、現在大量の樹木を切り倒して積み上げ、そのままの状態で数億年置いたままにしていたら石炭に変化するか、といったらもうお分かりと思います。木材を切り倒してそのまま野ざらしの状態で、数十年、数百年、野外に置いておいたら木材腐朽菌が木のリグニンを分解し、その後をバクテリアが無機化してしまう。ほとんど腐葉土のように土化してしまうのです。

 

   そして三つ目の驚きです。この世の中で最も巨大な生物は何か知っていますか? もちろん動物ならシロナガスクジラでしょう。でも動物だけではなくて、植物などこの世に生きている生物すべてが対象です。アメリカ合衆国西海岸の高さ80mを超す巨木=ジャイアント・セコイアか?  違います。答えは菌類、きのこです。きのこは、単独で生きているのではなく、白い菌床でつながっています。目に見えるきのこは、植物でいえば花や果実にあたります。きのこときのこをつなぐ菌床は、植物、樹木でいえば幹や根にあたります。この本で紹介されているように、1998年にアメリカオレゴン州で総面積9平方Kmにおよぶオニナラタケの菌床が発見されました。推定重量600トン、およそ2400歳とみなされています。おそらく生物の寿命でも最長ではないでしょうか。

 

 

f:id:takeo1954:20170102070019j:image

 

⚪️最初に地上に現れた植物は、海藻やコケに似たどろどろしたものだった。それらはシアノバクテリアの子孫で、海や河や小川のすぐそばにへばりついて生きていた。その後ほぼ同じ場所でスギゴケ、ゼニゴケ、ツノゴケなどしっかりした根や葉がなく、水辺の近くでのみ繁殖する植物の時代をへて、4億2000万年ほど前に内部に菅をもつ「維管束植物」が現れた。

 

⚪️木と葉という発明
・樹木の祖先である維管束植物は、イギリスのライニーで完璧な形の化石が見つかる。化石の調査から、維管束植物はリグニンという細胞壁を強くする物質を持っていた。そのため雑草と違い干ばつのときも直立したまま生きのびることができた。
・石炭紀(3億5900万年前)になると、維管束植物の子孫ヒカゲノカズラ類が大繁殖する。その仲間レピドデンドロンは幹の太さ直径2メートル、12階建のビルに相当する高さを誇った。これらの樹木のおかげで、それから数億年の時を経て、人類は石炭という化石燃料を使って産業革命を起こし、今も不可欠なエネルギー源として使われている。
・2億7000万年前からから、樹木は主役が入れ替わっていく。新たな主役は〝真葉植物〟だ。大きな葉を持つことで、光合成がより効率的に行われるように進化していった。


⚪️菌類との共生関係
・木と菌類は密接な共生関係にある。枯れ葉や死んだ生物を発酵によって分解し、木が栄養として吸収できる物質に転換している。また菌類は木が光合成によって作られた糖分をもらっている。
・菌類のほとんどは地下に暮らしている。それらは菌糸とよばれる糸でつながって、菌糸体という塊を形成している。菌糸体は超巨大になることがある。1998年に、アメリカのオレゴン州で発見されたオニナラタケの菌床は、総面積が9平方Kmにおよび、推定重量600トン、およそ2400歳と見なされている。現在、顕花植物の80%が地中の菌類と共生関係にあるといわれている。


⚪️蒸散作用と種子の登場
・木は、高いところまで水を届けなければならない。気圧の力では10メートルが限界だ。それを解決したのが浸透圧差を利用した蒸散作用。木の葉の気孔は環境条件によって開閉し、必要に応じて水分を蒸発させる。水分が失われると樹液の濃度が高くなるので浸透圧差が生じて幹から水分が吸い上げられるのだ。
・木も最初は菌類と同様に子孫を残すため、胞子を風で飛ばしていた。これだと胞子が湿気のあるところに落ちないと発芽できない。これを解決したのが種子だ。最初に種子を作り出したのはソテツで、その起源は2億7000万年前にさかのぼる。更に木は有性生殖という方法を身につけるようになる。


⚪️昆虫の登場
・3億5000万年ほど前の石炭紀には、豊かな森林によって、地球上の酸素濃度35%にまで上昇したとみられている(現在は21%)。この高い酸素濃度が海から地上に生きる生物を増やしていき、生物の体を大きくしていくことにもつながった。昆虫の出現もそのころだ。その一つトンボは現在のカモメほどの大きさがのものもあり、空を支配した。さらにトンボとは別の甲虫は、ソテツの雄花の花粉を身にまとい、雌花まで運んで受粉させる有性生殖に関わることになった。

 

⚪️生物が土をつくる
・ミミズや菌類、そして甲虫をはじめとする昆虫は、地上の生物を支える貴重な資源である土壌を整えてくれる。落ちた葉や腐った木などをリサイクルして養分に変える。生物の存在が畑で野菜を育ててくれる柔らかい黒褐色の土をつくる。また土は風、水、氷、プレートの移動によって数百万年単位で作り変えられている。

 

   次回は、陸上に上がって繁栄し始めた動物たちと突如襲ったペルム紀の大量絶滅が主な内容となります。タイトルは「進化の実験場」です。