🔶《第8回》私の『137億年の物語』

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   恐竜の中で最強といわれているのは、ご存知のティラノサウルスです。恐竜の中だけでなく、地上に生きる動物の中で史上最強といわれています。体長は最大13m、体重は最大6t、噛む力=咬合力は最大8tにもなったといわれています。f:id:takeo1954:20170228053322p:image(2016.9.18 NHKスペシャル「完全解剖 ティラノサウルス…」より)

ちなみに現在生きる咬合力の強い動物と比較すると、ライオン0.4t、サメ0.6t、カバ1t、ナイルワニ2.2tなどとなっています。過去に存在した動物で、このシリーズの第5回で紹介した怪魚ダンクルオステウスが5.5tといわれています(ティラノサウルスの咬合力の数値など、本文のものと異なる。ウィキペディアティラノサウルス」など参照)。なので恐竜ティラノサウルスの噛む力は、過去の動物を含めて圧倒的な力を持っていて、正に史上最強です。また、視力や嗅覚に優れ、知能の点でも大変優れていたといわれています。

 

   昨年9月18日(日)にNHKで、NHKスペシャル「完全解剖 ティラノサウルス〜最強恐竜 進化の謎」が放映されました。ナビゲーター役で、ディーン・フジオカさんが出演した番組です。特に男性には興味をそそられるテーマだったので、ご覧になった方も多いと思います。その内容は、「ティラノサウルスの祖先は、今の中国辺りから当時陸続きだったアラスカを経由して、北米大陸に移動する。移動したときのティラノサウルスの祖先は、小型の恐竜だった。そして、行き着いた北米大陸f:id:takeo1954:20170228044407p:imagef:id:takeo1954:20170228044444p:imageで、動物界の頂点に君臨していたのは写真にある〝シアッツ〟で、体長は11mほどあり、ティラノサウルスの祖先が闘える相手ではなかった。それが数百万年の進化の中で、立場は逆転するようになる。頭部が大きく(1.5m)、横にも広がり、目の位置が変化したことで、視覚の遠近感を把握する能力が高まり、獲物を捕らえる能力が向上した。知能も高く、今のライオンのようにチームで獲物を捕らえる能力もあった。数頭が獲物を追う。他の数頭は逃げ道で待ち伏せして獲物を捕らえることが出来た。また、鳥とティラノサウルス(恐竜)の祖先は、共通のDNAの配列を持つ。それと中国でティラノサウルスの祖先(コエルロサウルス)の化石から羽毛のついた化石が発見さた。このことからティラノサウルスも羽毛で覆われていた(写真)」。と、このNHKスぺシャルでは説明している。f:id:takeo1954:20170228053143p:imagef:id:takeo1954:20170228053207p:imageこのシュミレーションによってグラフィック映像にされた写真を見ると、スティーヴン・スピルバーグ監督のジュラシック・パークで登場したティラノサウルスレックスの印象とまったく違っています。これからティラノサウルスなど、大半の恐竜の再現図は上の写真のようになるかもしれません。

   ただし、ティラノサウルスなどの恐竜が、成長して大人になってからも羽毛で覆われていたかどうかは諸説あって異論も多いようです。そんな訳で、ティラノサウルスの想像図は羽毛のあるもの、それから従来通りの羽毛のないものとの二つのパターンが存在し、しばらく使用するところによって異なる併用が続くのではと思います。

 

   ところで、このシリーズの前回第7回の投稿でも説明しましたが、ご存知ように今から6550万年前、メキシコ ユカタン半島沖に、直径10Kmの巨大隕石が衝突したことで、恐竜は絶滅してしまいます。ティラノサウルスのように、生態系の頂点に君臨していても、地球環境の激変が起こったときは、最も対応力の乏しい動物といえます。そういう点から見れば、バクテリアなどの微生物や菌類などの小さな生物が最も対応する力があるのかもしれません。それらは全地球上のいたるところに隈なく存在します。存在する場所も地中深くだったり、空中を漂ったりしています。巨大隕石の衝突で、相当数が死滅しても生き残るものはそれ以上で、確実に生命をつないでいます。爬虫類や哺乳類も、小型で環境に対応する能力のあるもののみが、命をつなぐことができたということになるのでしょう。

 

 

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ペルム紀の大量絶滅によって、地球上の生物の90%以上が消えた。その絶滅後の地球上で繁栄したのは菌類だった。この時代の地層の化石として残っているのは、ほとんどが菌類だ。哺乳類の祖先である単弓類で生き残ったのは、リストロサウルス一種だけだった。もしこの種も生き残らなかったなら、人類はこの世にいなかっただろう。
・リストロサウルスの系統のみが繁栄していたころ、まったく新しい爬虫類が登場した(単弓類からの進化ではなく、双弓類から進化)。それは恐竜だ。それまでの四肢動物のように、地上を這うように歩くのではなく、四肢が胴体の真下にあつたので、長い距離を早く移動することができた。それが恐竜の繁栄の大きな要因となる。恐竜の繁栄は他の陸上動物の衰退を招くことになる。


⚪️さまざまな恐竜たち
・ディプロドクスなど、最大級の恐竜の多くは竜脚類に属していた。それらは草食性で、四足歩行し、大きなものは体長が30m、体重が11トンにもなった。
・鳥脚類に属するヒプシロフォドンは、人間の腰に届くかという小さな恐竜だが、シカのように速く走ることができた。9000万年にわたつて繁栄したが、それを可能にしたのは逃げ足の速さだったのだろう。
・イグアノドンは、二足歩行と四足歩行のどちらも可能な恐竜だ。草食性で体長は成長すると10mほどになった。前あしの爪が鋭利な短剣のようで、防御する際はこの爪で撃退した。
・地球の陸地を歩いた最強の生物は、ティラノサウルス・レックス(Tレックス)だろう。2本足で歩き肉食。体長は12m、体重は現在のゾウほどもあった。アゴの力はライオンのアゴの8倍強かったと推定され、そのアゴで獲物の骨を噛み砕き、栄養豊かな骨髄まで食べていた。


⚪️社会生活を営んだ恐竜
・恐竜の大半は穏やかな草食動物で、地球上で初めて社会的集団を形成した。米国モンタナ州では、ある草食恐竜の1万頭に及ぶ群れの化石が発見されている。火山の有毒ガスを吸って倒れ、火山灰に埋もれて化石になったが、その化石は1.5Km以上にわたって連なっていた。
・現在恐竜の営巣地は世界で200ヵ所以上で見つかっている。恐竜の多くは、毎年同じ繁殖地に戻って卵を産み、子どもが成長するまで群れの中で育てた。


⚪️恐竜の大量絶滅
・6550万年前、白亜紀は終焉を迎え、新生代第三紀が始まっていた。そのころ恐竜には住みにくくなっていた。大気中の二酸化炭素濃度が上昇して温暖化が進み、加えて超大陸パンゲアが分裂していき、気候が変化していく。恐竜の生息地も分断、細分化されて、恐竜どうしが生息地を奪い合うようになった。その結果、恐竜全体が減少していった。
・そんなときに巨大隕石の衝突が起こる。直径10Kmの巨大隕石が、時速11万Kmの速度で地球に向かい、メキシコ、ユカタン半島の先端に衝突する。隕石は直径160Km超のクレーターを形成し、半径1000Km以内のすべてを破壊しつくした。衝突地点周辺では、激しい地震が起こり、高さ数十mを超える津波が、地球上の海岸線全域を襲った。また衝突地点の真下にあった有毒の硫黄の塵を、地球上に大量に撒き散らし、1年近く濃い刺激性のガスに覆われた。
・インドにある溶岩台地「デカン・トラップ」は、このときの巨大隕石の破片が衝突したことで巨大火山が連続して噴火し、溶岩が数百万平方Kmに広がったものといわれている。
・2億5200万年前のペルム紀の大量絶滅後、地球上で繁栄したのは菌類だったが、今回最初に繁栄したのはシダ類だった。
 

   次回第9回は、内容がガラッと変わって「花と鳥とミツバチ」です。