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🔶《第9回》私の『137億年の物語』

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   前回のテーマが「恐竜戦争」で、私の解説・コメントでは、特にティラノサウルスを中心に紹介するという内容でした。そして、今回は上の表題がテーマです。恐竜とミツバチでは、あまりに話しの対象が違いすぎて拍子抜けかもしれません。しかし、小さな昆虫のミツバチやアリ、シロアリなど、それらが生きている世界は、特筆すべき驚きの社会生活を営んでいます。そのことを中心に少し私のコメントを書きます。それから、この章で鳥について「鳥と恐竜は親類か」という内容の記述がありますが、そのことは前回私の解説で紹介したので、この章の解説としては省きます(「本文要約」で紹介)。

 

   さて、シダ類などの維管束植物が登場したのが今からおよそ4億2000万年前。それから植物の〝花〟が登場するまで約3億年を要します。そう、花は今から約1億3000万年前、〝突如出現〟と言っていいほどで、突然地上に登場し、急速に広がります。この地上での花の登場直後の急速な広がりには、甲虫やハチなどの昆虫の働きがあります。そうです、〝花〟の急速な地上での広がりは、花と昆虫(一部鳥も同じ役割を果たす)とのお互いの共同作業があったからこそといえます。

   植物の約8割は、次の子孫を〝たね〟として残し、種をつないでいく種子植物です。この種子をつくるためには、花の雄しべの花粉を雌しべに届ける受粉が必要です。その受粉を担ったのが昆虫(他にもハチドリのような鳥やコウモリも同じ役割を果たす)です。そして花は昆虫に来てもらうために、花の奥の蜜腺から蜜を出します。ミツバチなどの昆虫は、その蜜を求めて花から花へ移動を繰り返えす。ミツバチに着いた花粉は、同じ種の他の花の雌しべにしっかり届けるのです。もちろん植物にはこうした昆虫の力を借りないで行う受粉もあります。稲や麦のように、風の力を借りて受粉を行う植物です。こうした植物は、蜜腺から蜜を出す機能が退化してしまっています。

 

    さて、本書で紹介されている驚きの内容です。その一つがミツバチ社会のコミュニケーションです。ミツバチは、仲間にダンスでどこに食料(蜜を出す花)があるかを教える。ダンスの「円形ダンス」は、食料が巣から50m以内にあることを示す。そして「8の字ダンス」は、食料がある場所とそこまでの距離について、より詳しく伝えることができる。また、毎年春になると、ひとつの巣のハチの半分は、女王バチとともに古巣を離れ、新しい場所に巣を築く。そしてその新しい巣の設営場所を、驚くべきことに古巣を離れるミツバチたちの〝多数決〟で決めているのです。まずはじめに、群れのおよそ5%にあたるハチが候補地を探しに出かけ、巣に戻るとダンスでその場所を仲間に伝える。他のハチたちはその候補地のチェックに出かけ、気に入った場合は巣に戻ってから長く活発なダンスをする。2週間ほどそうしたことを繰り返し、最も活発なダンスが行われた候補地が新しい巣として選ばれるということです。

    「えっ、ミツバチがそんな行動をしていることが本当に分かるのか」って?  そうなんです。最初私もそう思いました。でも事実のようです。このミツバチのダンスコミュニケーションを発見した人は、そのことでノーベル賞をもらっているのです。その人とは、オーストラリアの動物行動学者の〝カール・フォン・フラッシュ(1982年没)〟で、ミツバチのダンスコミュニケーションの研究によって、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

f:id:takeo1954:20170306074845j:image〈出典〉ウィキペディアフリー百科事典 「ミツバチ」 更新日時 2004.8.14

 

   さて、次はアリの話しです。下にある写真をご覧下さい。なんか葉っぱの破片が不自然に立っているように見えます。実はこの葉っぱ、アリがくわえて巣に運んでいるのです。巣に運んで何をするのかって?  巣の中でキノコ(アリタケ)を栽培するための材料(栄養分=肥料)なのです。もちろんそのキノコはアリの餌=食料となります。 

f:id:takeo1954:20170306075552j:image〈出典〉ウィキペディア フリー百科事典「ハキリアリ」更新日時 2016.9.1

https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Leaf-cutter_Ants.jpg#mw-jump-to-license 

    今紹介したアリは、北アメリカ東南部から中南米熱帯雨林帯を中心とした地域で生息する〝ハキリアリ〟です。ハキリアリのやっていることは、正に農作業です。巣の中の畑に、せっせと森から集めた葉をキノコの肥料として敷きつめる。そしてキノコを育てて収穫し、食料として食べている。農作業など人間の専売特許かと思っていたら、そうではなかったのです。

 

   あるいはまた、アマゾンに住むサムライアリは、これも過去に存在した人間社会特有(と思っていた)の奴隷制度(現在の人間社会では、制度としての奴隷は存在しない。)を持っている。このアリは、自分たちで餌をとることも卵や幼虫の世話をしたり、女王の世話をすることもしない。全て拉致してきた他のアリに行なわせている。ふだんは外に出ることなく、巣の中で拉致してきたアリがとってきた食料を食べて生きているのです。外に出るのは「奴隷狩り」をするときと交尾のときだけです。サムライアリの働きアリは、奴隷狩りの戦闘に特殊化しているのです。それからサムライアリの新女王アリは別の巣を乗っ取ります。他のアリの女王アリを嚙み殺し、なんとその巣のアリに自分の世話をさせてしまうのです。これは、女王アリを嚙み殺すとき、皮膚表面の成分を舐め取ってその女王アリになりきってしまうからといわれています。

f:id:takeo1954:20170306161520j:image〈出典〉ウィキペディア  フリー百科事典「サムライアリ」更新日時2015.3.12   https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Polyergus_samurai_casent0173324_profile_1.jpg#mw-jump-to-license

 

   三つ目がシロアリの話しです。アリが「ハチ目」に属するのに対して、シロアリは「ゴキブリ目」に属していて、種の系統は異なります。しかし、このシロアリも驚異的な社会を形成しています。 先ずその巨大な巣です。その高さは2階建てバスほどのものがあります。ひとつの巣に数百万匹が棲んでいることもあり、その中はミクロ都市のようです。特殊なトンネルによって巣内の温度を調節する空調設備があり、雨水を貯めるシステム、さらにキノコの栽培室まであります。

   シロアリは、クロアリなどの敵に襲われたとき、優れた軍隊組織を組んで迎え討ちます。攻撃が始まると、前線を守る兵隊アリの後ろに予備隊が列をなし、前のアリが死ぬと後ろにいたものがすぐ前に出て欠員を埋める。敵が外壁に穴をあけると、兵隊アリがその穴の外に出て、小隊を組んで並んで毒液で敵を攻撃します。その間に他のシロアリが巣の内側から穴を埋めていく。そのため外に出た兵隊アリは退路を断たれて死ぬ。そうした多くの兵隊アリの尊い犠牲によって巣は全滅することなく、守られているのです。

写真⬇︎シロアリの巣=アリ塚(ソマリア

f:id:takeo1954:20170308054434j:image〈出典〉 ウィキペディア フリー百科事典「シロアリ」更新日時 2017.2.20

 

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 ⚫︎〝花〟の登場は意外に新しく、今から1億3000万年前ごろ出現する。それ以前の地層から花は発見されていない。


⚪️花と昆虫の共同作業
・花をつける草や木を「顕花植物」というが、人間が食べるものの75%以上は顕花植物に由来する。
・花は、草や木にとって繁殖を支える画期的な方法だったので、たちまち世界中に拡散した。その方法とは、おしべの花粉を花粉媒介者の助けを借りてめしべ(雌花)に届け、新たな遺伝子配列を持つ種子を作ることだ。花粉媒介者とは、甲虫、ハチ、ガやチヨウなど。花は花粉媒介者には蜜を与えた。
・花は、めしべの一部「子房」が「果実」となる。果実の中には頑丈な種子が隠れている。この果実をさまざまな動物に食べてもらう。そして消化されず、動物の糞と一緒にいたるところに排出される。
・その他にも種子を拡散する方法がある。風に飛ばされるもの(イネ科の植物や多くの木々)。水で運ばれるもの(ヤシもその一つで海を渡って他の島で繁殖する)。動物の毛について運ばれるものなど。


⚪️鳥と恐竜は親類か
※この章のテーマと少し離れるが、鳥が恐竜の子孫であることを紹介している。もちろん鳥も花粉媒介者の蜂鳥のような鳥もいるし、何より高い木々に成る果実の種子を広く拡散してくれるのが鳥だ。その鳥のルーツについての記述。
・1861年、ドイツ人の化石ハンター、ヘルマン・フォン・マイヤーは、1億4000万年ほど前の地層から「始祖鳥」と名付け、「最初の鳥(の化石)」を発見したと発表した。しかし、その始祖鳥は何から進化したか?という点は不明。
・1976年、アメリカの古生物学者、ジョン・オストロムは、始祖鳥と肉食恐竜であるデイノニクスの骨格が極めてよく似ていることから、「鳥類は恐竜の子孫である」と発表する。
・1990年代初頭、中国東北部遼寧省で、「恐竜版ポンペイ遺跡」が発見された。
1億3000万年ほど前の突然の噴火で、恐竜を含むさまざまな動物が、またたく間に火山灰で埋もれてしまう。そのため埋もれた動物(化石)の組織は、分解を免れた状態で発見される。1995年、中国の科学者たちは、羽毛の生えた恐竜がいたことを証明する化石を発掘した、と発表した。
・それらの恐竜は、保温のための羽毛だと見られている。


⚪️ミツバチの社会
・狩りバチ(スズメバチなどの肉食性のハチ)は、ジュラ紀(およそ2億年前から1億4500万年前まで)に、最初の恐竜とともに登場したが、白亜紀の初期、地球に花が咲くようになってから急速に進化する。狩りバチの多くは1匹だけで暮していたが、中には単純な社会生活を営むものもいた。一方、その狩りバチの子孫として花バチ(花粉や蜜を食べるミツバチ、マルハナバチなど)が現れた。
・ミツバチは高度に社会的な昆虫だ。ミツバチは、ダンスで互いにコミュニケーションをとることができる。円形ダンスは食料が巣から50m以内にあることを示す。「8の字ダンス」は、食料がある場所と距離についてよりくわしく伝えることができる。
・ミツバチは、毎年春になると一つの巣の半分は、女王バチとともに古巣を離れ、新しい場所に巣を築く。どこに巣を設営するるかを多数決で決めている。その方法とは、はじめに群れの5%にあたるハチが、いくつかの候補地を探しに出かけ、巣に戻るとダンスで仲間にその場所を伝える。他のハチたちはその候補地のチェックに出かけ、気に入った場合は、巣に戻ってから長く活発なダンスをする。2週間ほどそうしたことを繰り返し、最も活発なダンスが行われた候補地が新しい巣に選ばれる。


⚪️アリのチームワーク
・アリはハチ目に属する昆虫だ(1億2500万年ほど前に、ハチから進化したと推定されている)。アリの社会には、学校や奴隷制度のような仕組みがある。また、農作業をするアリもいる。
・アリは「フェロモン」と呼ばれる化学物質でコミュニケーションをとる。食料を見つけると、地面にフェロモンの匂いを残しながら巣に戻り、仲間に知らせる。危険な状況になったときにもフェロモンで仲間に知らせる。また、匂いで巣の中のグループを見分けることができる。
・若いアリがはじめて巣から出ていくときにには、年配のアリが食料の探し方と運び方を教えている。
・ハキリアリは農作業をするアリで、葉を集めて巣に運び、巣の中の畑で育てているキノコに肥料として与え、育ったキノコを収穫して食べている。
・アリの中には、他のアリの巣を襲撃し、奴隷として連行するものもいる。壮絶な戦いに勝つと、戦利品として卵や幼虫を持ち帰り、自分たちに使える奴隷に育て上げる。アマゾンに棲むサムライアリは、食料集めも卵や幼虫の世話も自分たちは一切やらず、拉致してきた奴隷アリに押しつけている。
・シロアリは、アリがハチ目に属するのに対し、ゴキブリ目に属するが、やはり社会性昆虫だ。ジュラ紀(およそ2億年前から1億4500万年前)に、最初の恐竜とともに進化し、白亜紀以降その数を増やしていく。シロアリが作る巣の壁は非常に頑丈で、2階建バスぐらいの高さになることもある。空調設備、雨水を貯めるシステム、さらにはキノコの栽培室まである。
・シロアリの兵隊アリは、天敵であるクロアリから巣を守っている。アリの攻撃がはじまると、前線を守る兵隊アリの後ろに予備隊が列をなし、前の兵隊アリが死ぬと、後ろの兵隊アリがすぐ前に出て欠員を埋める。多くの兵隊アリが戦いで死ぬ。その犠牲によって巣は守られている。