🔶《第2回》私の『137億年の物語』

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   今回第2回目の テーマも第1回目のテーマに劣らずこの世にある最大級の不思議の一つです。この本を読んでいくと『えっ、そんなことがあったのか!』とか『なるほど、そういうことだったのか!』という驚きがたくさんあります。この本はそんな驚きの連続、未知との出会いの連続です。そんな中でも前回と今回のテーマは私にとって最大の不思議(驚きを含む)ベスト3の一つといえます。人類の誕生より何よりその人類誕生の一番最初の大本(おおもと)となる単細胞生物、すなわち先ず最初に生命誕生という正に神がかりな奇跡が起こったこということです。今から30億年ほど前の地球上の海中で、突然無生物が司令を出して他の無生物を自分の中に取り込むことを始めた。そう、この世の最大の不可解はそこです。何故無生物が突然無生物を取り込み、それを栄養として活用を始めたのか、生命体すなわち単細胞生物に進化したのかです。そこがどう考えても理解不能です。

 

   本書で紹介しているように1953年、シカゴ大学のハロルド・ユーリー教授の教え子スタンリー・ミラー(後に教授)は、大学の実験室で初期の地球に存在したと思われる物質、水素、メタン、アンモニアなどの気体と沸騰した蒸気を注入、そこに強力な電流を流して火花を散らす。原始地球の大気を再現する実験から生命のもととなる有機物アミノ酸を造ることに成功するのです。しかし残念ながらそこまでです。その後人類は現在に至るまで誰一人そこから生命誕生を成功させた人はいません。科学的にさまざまな仮説がありますが、実験でアミノ酸から生命誕生のプロセスを検証した人はいないのです。そのため今も科学を専門にする人の中でも「生命誕生は人間の理解を超越している。神の力があったのだ」という人がいます。神を持ち出す気持ちも分からない訳てはありませんが、それではこの生命誕生の問題は思考停止ということになってしまいます。また、「生命は宇宙から来た」という説をとる科学者もいます。確かに宇宙の彗星の中にアミノ酸などの有機物が存在していて、それが軌道を外れ地球に衝突して生命の材料となる有機物が地上にばら撒かれたという可能性はあるでしょう。いや、可能性でなく隕石や彗星などの衝突でアミノ酸などの有機物がもたらされた、あるいは衝突の際に有機物が出来上がったという説が有力になっています。しかし、「生命そのものが宇宙から来た」という説になると話しはまた振り出しに戻ってしまいます。そう、今度は地球にやって来た生物はその生物が存在した星で、いったいどういうプロセスで生命を誕生させたのかという疑問に変わるだけです。ビックバンによる宇宙誕生は爆発後最初に粒子が、そして原子に、さらに分子、高分子へと変化していったプロセスは宇宙のどの場所でも共通なはずです。ビックバンと同時に生命が誕生することなどあり得ないからです。

   ただこの本で紹介されているスタンリー・ミラー氏の実験や初期の単細胞バクテリアなどについての説明を読む中で、自分なりに地球の太古の時代に生命が誕生したころの様子をそれとなく空想してみることはできるでしよう。

 

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   今から30億年以上前の地球上で海ができてから数億年の経過の中で、隕石や彗星の衝突、そして紫外線や落雷などさまざまな自然現象を受けながら海中の物質は単純な分子から低分子有機物に、そしてさまざまな高分子有機物が生まれる。そうした経過の中でそれらは互いにくっついたりしながらアメーバのような形状になって海を漂い、太古の海の入江などに大量の高分子有機物が集まる。そして生体内で行なわれる代謝に近い形にのものが自然界で化学反応として始まり、それが更に進化していきやがてエネルギーを生む。そのエネルギーは高分子有機物の集合体を取り込み、膜をつくる。その結果が単細胞生物の誕生になるつながっていく……。

    このあたりが私の妄想の限界です。ただこれからもこのテーマに関心を持って妄想のレベルを高めたいと思います。

 

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 ⚫︎今日まで、アミノ酸を人工的に創り出すことはできたが、化学物質から生きている細胞を創り出せた人はいない。生命誕生も宇宙誕生同様仮説である。
⚫︎生きている細胞の不思議なところは、繁殖できることだ。ウィルスやバクテリアをはじめ、単細胞生物は通常、自分の完全な 複製をつくる(ときおりシステムにエラーが発生して、変異が生じることもある)。増殖能力があるからこそ生命体はこの宇宙に存在するものの中で特別な存在。
⚫︎海の底で生まれた生物
・2種類の生物が海から生まれる。

➀メタン生成細菌
・深い海底で進化したため、太陽風の致命的影響を逃れることができた。ブラックスモーカーと呼ばれる、海底で刺激性の熱水を噴き出している煙突のような噴出口の近くで繁殖し、食料となる化学物質と温かさを得ている。
➁シアノバクテリア藍藻
・食料不足の折に起きた突然変異から進化したものと思われる。まったく新しいエネルギー源「光合成」だ。日光を使って二酸化炭素と水とを分解し、酸素とエネルギーに変換するようになる。

⚫︎シアノバクテリアによる光合成によって地球の大気は変わっていった。数十億年にわたって光合成をするうちに空気中に大気が蓄積されていった。このことにより生物の進化は、次の段階にすすんでいった。
⚫︎およそ20億年前、もうひとつの突然変異が起きた。単細胞バクテリアは呼吸するようになり、酸素豊かな大気の中で暮らせるようになった。酸素はATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーをたっぷり含む物質をつくり出せる。そのため酸素呼吸するようになった生物は、他の方法で得るより最大10倍ものエネルギーを得られるようになった。
⚫︎単細胞生物から多細胞生物誕生
・活発な単細胞バクテリアは、自分より大きな単細胞バクテリアの体内に入り込み、「細胞内共生」という協力関係が生まれる。

※小さなほうは大きいほうの廃棄物を食べ、大きなほうは小さなほうの呼吸で生じたエネルギーを活用する関係。
・共生するようになった単細胞バクテリア(真核生物)の体内でさまざまな機能が発達する。「ミトコンドリア」と呼ばれる細胞内の器官は、食料をエネルギーに変える役割を果たすようになった。「葉緑体」と呼ばれる器官は、有毒廃棄物の処理を担うようになった。その中から自分と同じ細胞を作るのに必要なあらゆる情報を保管する遺伝子(「デオキシリボ核酸」=DNA)が生まれる。
・簡単に豊富なエネルギーを得るために活動的なバクテリアは、生きているバクテリアを丸ごと飲み込むようになる。ここから捕食者と被捕食者の関係が生まれ、発展し、急速に進化していく。

・そうした進化の過程の中で、単細胞生物が結合して、地球初の多細胞生物が誕生した。そのいくつかが今日の動物となり、別のいくつかは植物になった。

 

 次回テーマ3は「地球と生命体のチームワーク」です。